
売買契約が解約されても手付金が返ってくるケースとは?【不動産知識】
これまで手付金についてその性質や相場などを解説してきました。
今回は売買契約が解約されても手付金を返還する「白紙解約」となる場合について解説していきます。要は、誰の責任でもなくローンが通らなかった場合や契約に違反事項があった場合などは手付金を返還して契約をなかったことにするというものです。
手付金が返ってくる3つのケース
ここまで手付金のことや現金で支払うのが一般的であることなどが分かったと思います。次に売買契約を解除しても手付金が返還される以下3つのケースを解説します。
手付金が返還されるケース
・ローン特約の適用
・売主の手付放棄
・売主の契約違反
ローン特約の適用
手付金が返還されるのは、まずローン特約が適用されたときです。ローン特約とは住宅ローンを組んで不動産などを購入する場合、その銀行の審査に落ちたときは白紙解約になるという特約です。ローン特約については住宅ローン審査の流れを知っておくことで理解しやすくなります。
<住宅ローン審査の流れ>
住宅ローン審査の流れは以下の通りです。
①仮審査
②仮審査の承認(承認後に売買契約を結ぶ)
③(売買契約後)本審査
④本審査の承諾
⑤金銭消費貸借契約(住宅ローンの本契約)
⑥引渡し(決済)
上記のように本審査は売買契約を結んだ後に行います。仮審査に承諾していて本審査が否決になるケースはほぼありません。しかし万が一本審査で否決になり、かつ買主側に責任がなければローン特約が適用されて手付金返還の契約は白紙解約となります。
ローン特約が適用されないとき
しかしローン特約は以下の状況の場合は適用されません。
ローン特約が適用されない状況
・本審査が否決になった理由が買主の責任
・プラベートローンを組む
たとえば仮審査~本審査の間に転職した、ほかの借入をした、などの場合は、仮審査のときと状況が変わるので本審査に落ちる可能性があります。しかしこれは買主側が勝手に行ったことなので買主の責任としてローン特約は適用されず、手付金没収の売買契約解除となります。
また、不動産会社が提携している銀行以外でローンを組む場合も、ローン特約が適用されない場合があります。これはケースバイケースなので不動産会社に確認しておくと良いでしょう。
売主の手付放棄
上述したように買主側から一方的に売買契約を解除することはあっても、売主側から契約解除することは少ないです。しかし何かしらの事情があり売主が契約解除したいのであれば手付金は返還されて、かつ手付金と同額を売主は買主に違約金として支払います。
売主の解約違反
また売主が契約違反したことによって買主が売買契約を解除するときも、売主の責任として「手付金の手付放棄」と同じ扱いになります。売主の契約違反とは、たとえば以下のようなことです。
売主の契約違反の例
・引渡し日(決済期日)を守らない
・契約時と状況が違う(激しく損傷した、残置物が大量にある場合など)
・家の状況などに関して虚偽があった
まとめ
これまで「手付金」について解説してきましたが、正直法律的な部分も多く難しい内容であったかと思います。しかし、不動産を売ったり買ったりすることは人生において多くはないと思います。それにもかかわらず取引価格が大きい分、万が一契約に不備があった場合のリスクを背負うことにもなりかねません。
そういったことが内容きちんと自分で調べたり、不動産会社に質問するなど納得した状態で取引できるよう気を付けていきましょう。
