違法建築物と既存不適格住宅の売買は気を付けた方が良い?

築物は建築基準法などの法律に沿って建てることを義務付けられています。ところが、実際には法律に適合していない「違法建築」や「既存不適格」と呼ばれる建物が存在します。自宅の改築や中古物件の購入・売却を考える際には、それらに該当していないかを確認することが大切です。

そこで、今回は、違法建築と既存不適格のそれぞれの内容と2つの違いについて、その売買についての注意点を中心に説明をしていきます。

どんな建物が違法建築?

違法建築とは一言でいうと、建築基準法などの法律に違反して建築された建物のことです。具体的には、建ぺい率や容積率の上限を超過している、斜線制限を守っていない、敷地の接道義務を果たしていないなどといったものがあります。

◆建ぺい率:敷地面積に対する建築面積の割合。

◆容積率:敷地面積に対する「建築物の各階の床面積を合計した延べ床面積」の割合

◆斜線制限:道路境界線や隣地境界線からの距離に応じた建築物の高さを制限する規制です。これは、隣地の日照権を確保することや、通風などの良好な住環境を保つための制限です。

◆接道義務:幅員4メートル以上の道に敷地が2メートル以上接していないと家は建てられないという決まりがあります。

建築に関してはその他にもさまざまな決まりごとがあり、一つでもそれに違反しているとすべて違法建築になります。

したがって、新しく家を建てようと思えば、建築基準法などの法律に違反してないかをしっかり確認する必要があります。

また、建築した時点では適法であっても、その後、建築確認申請をせずに増改築を行った場合も違法建築となります。これは改築内容が適法か違法かは関係なく、申請をしなかったこと自体が違法行為となるのです。

建蔽率・容積率とは何?についてはこちら

違法建築が生まれる理由

建築基準法や条例などルールがあるにも関わらずに上記のような違法建築が発生するのはなぜでしょうか。

完了検査を受けていない家屋がある

住宅が完成した場合、通常は「完了検査」によって建物の構造や設備が法令に適合しているかどうかを確認する検査で、工事完了日から4日以内に建築主事等に検査の申請を行います。

建築内容に問題がなければ「検査済証」が交付されます。この検査済証を交付されるまで、その建物は利用できないとされています。

しかし、過去には現在ほど完了検査の実施が徹底されていませんでしたので、物件によっては検査済証が交付されないままとなっている場合があります。また、地域によっては完了検査を行わない地域があり、そのような建物も検査済証が交付されないまま現在に至っているケースがあります。

また自由設計の建物で散見されるケースとして、建築確認申請や完了検査を行うと設計通りの建物が建築できないことから敢えて申請や検査を行わない場合があります。

行政処分を受ける可能性もある

違法建築を放置しておくと、建築基準法違反の物件として様々な制約を受けることになります。最も重いのは行政処分を受けることです。

建築基準法上の行政処分は、重いものであれば懲役3年以下または300万円以下の罰金(法人の場合は1億円以下の罰金)の刑に処される可能性があります。特に増改築や自由設計の家屋で基準に適合しないと知りながら確認申請を怠った場合は建築主・設計者・工事施工者のそれぞれが行政処分を受ける可能性があります。

また、行政処分を受けない場合でも違法建築の場合は物件を担保にした融資が受けられないといったデメリットも抱えることになります。

違法建築を抱える場合には取り扱いに十分注意しておきましょう。

そして、工事中に家が違法建築である事実が判明すると、最悪の場合、建物の取り壊しや使用禁止などの是正措置がとられることになります。さらに、建設中に違法の事実が判明した場合には工事停止命令が下されます。

どんな建物が既存不適格?

既存不適格とは、建築した当時は適法な建物だったものの、法律の改正によって現在では適法ではなくなったものを指します。

たとえば、建ぺい率や容積率、高さ制限などの上限が変更されて規定の数字を超過してしまったなどといったケースです。建築基準法などの建築関連の法律は建築技術と密接な関係にあるため、その進歩によって頻繁に改正される可能性があります。

つまり、自分の知らない間に自宅が既存不適格になってしまったという事態も十分考えることができます。

また、道路として敷地の一部が地方公共団体に買収されたため、敷地面積が減少して建ぺい率・容積率が規定の数値を超過したといった具合に、不可抗力で法律に抵触した場合も既存不適格扱いになります。

家が既存不適格の建物となると罰則があるのではないかと思う人もいるかもしれませんが、その心配は不要です。既存不適格自体は違法ではなく、そのままの状態での存在が認められています。

既存不適格自体は違法ではなくそのままの状態での存在が認められている

ただし、既存不適格の状態のまま、増改築を行ってしまうと違法建築になってしまうので注意が必要です。増改築を行う場合には、不適格となった状態を解消して、現在の法律に適合するようにしなくてはならないのです。

仮に、建ぺい率が70%の既存不適格の家があったとして、現法では上限が60%だとすると増改築するには建築部分を大幅に小さくするしかなくなってしまいます。そのため、家の増改築をあきらめるといった例も少なくないのです。

とはいえ、既存不適格の増改築に関しては一定の緩和措置が設けられている例もあるため、まずは現在の法律がどうなっているかをしっかり確認することが大切です。

違法建築と既存不適格の違い

違法建築物を担保にして住宅ローンを利用しようとしても、多くの場合、金融機関から断られることになってしまいます。なぜなら、法律から逸脱した物件なので正確な価値を算出するのが困難だからです。

しかし、現状では違法建築物だが、減築を条件にすることで融資を受ける方法などもあることも事実です。

また、売却をしようと思ってもその際には違法建築である事実を告知しなければなりません。そうなると、当然、買主は限定されることになりますし、資産価値そのものが大幅に下がってしまいます。

一方、既存不適格の建物なら違法ではないので、原則として住宅ローンが利用できなくなるようなことはありません。

ただ、建築当時と現在の規制数値の差が大きい場合には、住宅ローンの利用に影響する可能性があります。また、売却の際には既存不適格である事実を買主に伝えなければならないという点は違法建築の場合と同じです。

同時に、改築や建て替えの際に制限がかかるという事実も説明しなければならないため、買主の印象が悪くなって購入を避けられるというケースは十分に考えられます。

少なくとも、法律違反の違法建築物件を売却するのと比べると、そのハードルは低いといえるでしょう。

更地にして売るメリット・デメリットはこちら

違法建築でないことを確認する方法

自分の家を担保にして金融機関の融資を利用する際には、建物が違法建築でないことを証明する必要があります。

その方法として最も簡単なのは検査済証を確認することです。検査済証とは建物の建築工事が全て完了したのちに、検査をして敷地・構造・建築設備などがすべて適法だった場合に交付される証明書です。

それがあれば、たとえ現在は法律に沿っていなくても建築した時点では適法であった事実を明らかにすることができます。しかし、古い建物の場合は検査済証が紛失してどこにあるのかわからないといったケースも珍しくありません。そのときは建物を所管する役所の建築指導課で完了検査を受けているかどうかを確認することができます。

たとえば、建売住宅の吹き抜けだった部分を検査済証が交付されてから業者自身が床を張り、容積率が規制値をオーバーしたというケースです。無許可で改築すること自体が違法ですが、建売住宅を建てた業者は自社で改築ができるのでそのようなことが可能となります。

既存不適格でないことを確認する方法

検査済証を確認できたとしても、それだけでは違法建築ではないことを証明したにすぎず、既存不適格でないという証明にはなりません。

既存不適格でないことを確認する方法

既存不適格かどうかを知るためには建築された後に関係法令や都市計画区域がどのように変わったのかを把握しなければならないのです。その上で、建ぺい率や容積率といった数値が現在の規制数値内に収まっているかを確認して、初めて既存不適格でないという事実が証明できたことになります。

それには専門的な知識や情報が必要であり、一般人が正確な判断を行うのはきわめて困難です。そこで、既存不適格かどうかを知りたい場合は役所の建築指導課や専門家に相談することをおすすめします。

まとめ

今回は、違法建築・既存不適格について解説してきました。不動産サイトで相場より明らかに安い物件などはこうした違法建築である可能性や既存不適格建築物である可能性があるのできちんと不動産会社に確認していきましょう。

しかし、このような物件の売買に関しては違法ではないですが、売買や増改築の際に何かしらの制限が発生する可能性も高いので取り扱いには十分に気を付けて行うようにしてください。

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